秋田県の森吉山や白神山地を背景に、自然の中で遊んだり学んだり。NPO法人 冒険の鍵クーンがご案内します。

ふるさとサマーキャンプ 活動報告

第15回 ふるさとサマーキャンプ 2019
2019年 8月3日~7日   於:県立奥森吉青少年野外活動基地 他

2019年 8月3日

午前(高原の原っぱ遊び)

15年目となったサマーキャンプ。今年も秋田、大館の2ルートで各地からキャンプ地に集まりました。到着後、まずは爽やかな高原の原っぱで虫取りしたり、1年ぶりの再会を楽しんだりと、思い思いに遊びました。

午後
(テンティング)

お弁当の昼食後、経験者の子供たちがテンティングのデモンストレーション。レクチャーを受けて、各グループごとに自分たちが今夜から寝泊りするテントを立てました。

(ダッジオーブンクッキング)

とても暑い日だったので、日陰でおやつと水分補給の休憩をとった後、サマーキャンプでもすっかり定番となったダッジオーブン料理にとりかかりました。今年は"鶏の丸焼き"に挑戦。ニンニクを詰め込みスパイスを塗りこんだり、照り焼き風のたれに漬け込んだりグループそれぞれの味を付けたら、大ぶりに切った野菜を敷き詰めた鍋に投入。熾しておいた炭をフタにも乗せたら、あとはほったらかして焼き上がりを待ちました。


(夕食)

キャンプを通じての食事ルールは「お残しは許しまへんで!」。食べたいものを食べれるだけ自分で取りわける、というバイキング形式。グループごとに味付けが違うため、食べ比べてみたり美味しくいただきました。

(虫トラップ作り)

男女ともに虫には興味津々のようで、虫取りのワナを作って仕掛けました。熟したバナナを潰して焼酎や砂糖などと混ぜたものをスポンジに吸わせてストッキングに入れて目星をつけた木に巻き付けました。ぐちょぐちょの感触できつい臭いでしたが、明日の朝が楽しみです。

(シャワー・就寝)

管理棟でシャワーを浴びる順番待ちの間、灯りを使った虫取りのワナ(ライトトラップ)もしかけました。シャワー後、自分たちで立てたテントに入り、寝袋で寝ました。

2019年 8月4日

(バードウォッチング ~ 朝食)

早起きをしてバードウォッチングへ。一人ずつ双眼鏡を持ち、正しい使い方の練習をしてから森にそって野鳥を探してゆっくり歩きました。今年は鳴き声も多く聞くことができ、少し歩いては声のする方を双眼鏡で探して、たくさんの野鳥を見ることができました。テントサイトに戻ってデリバリーの朝食を食べました。

午前(フィールドサイン探し ~ センサーカメラSD回収)

今日からキャンプに参加する子どもたちと合流し、管理棟裏の遊歩道で野生生物の痕跡(フィールドサイン)を探しに出かけました。ここは、立派なブナの林の中を30分程度で一周できる整備されたコースで、一般の方の利用も多い遊歩道です。あらためて、ゆっくり目を凝らして歩いてみると、枝先にウサギの齧った跡があったり、道標にツキノワグマが身体をこすりつけて抜けた毛が残っていたり、野生動物たちもこの道を利用していることが良く解りました。7月から遊歩道沿いにセンサーカメラを6台仕掛けていたので、そのSDカードも回収しました。

午後
(昼食)

テントサイトに戻り、夏の定番、簡単に調理できるそうめんを作って食べました。

(センサーカメラ画像チェック)

マイクロバスでまた管理棟に戻り、回収したセンサーカメラに何が映っているか画像をチェックしました。午前中、実際に食痕を確認できたノウサギや、体毛を見つけたツキノワグマがやはり映っていました。他にアナグマやタヌキ、キツネなども映っていて、ヒトの出入りが常にある管理棟の真裏の遊歩道にもかかわらず、多くの野生動物がかなり頻繁に、ヒトと同じようにこの森を利用していることがわかりました。全て動画で撮っていたのでその姿だけでなく、どっちからきているのか、どこへ向かっているのか、何をしているのかなどが解り、子供たちも動物たちがこの森でどう暮らしているのか想像が膨らんだようです。

(ジビエクッキング(シカ) ~ テンティング ~ 夕食)

今まで棲息しないと言われていましたが、最近ついに森吉山麓にもシカが侵入してきたらしい中、今夜の夕食はシカ肉バーベキューです。といっても、"森吉のシカ"ではなく、食肉用として処理されたエゾシカの前足1本をまるごと北海道から送ってもらい、みんなで解体して食べました。脂の少ない赤身肉で、骨とスジを残してきれいに完食しました。今後、秋田でもシカの侵入増殖が問題になるかもしれません。その時の解決策の一つとして、"美味しくいただく"こともあるかもしれないとみんなで話しました。夕食の準備の合間に、今日から参加した子供たちが泊まるテントを追加で立てました。

(シャワー ~ 就寝)

今日は朝が早かったので、少し早めにシャワーを浴びてテントに入り就寝しました。

2019年 8月5日

(起床 ~ 朝食)

今日も良い天気です。起床、朝の身支度の後デリバリーの朝食。麓にある国民宿舎森吉山荘の朝食バイキングを毎朝分けてもらっています。

午前~午後
(野生鳥獣センター見学 ~ ノロ川トレッキング)

いちばん森吉山麓らしい自然が楽しめるコース、ノロ川へ出発。渓谷へ入る前に環境省の野生鳥獣センターに立ち寄り、これから向かうエリアの情報を仕入れたり、棲息する生き物たちの展示を見学しました。一息ついていよいよトレッキングに出かけました。流れが緩いことから"ノロ"川と呼ばれる通り、渓流沿いに進む道はアップダウンがほとんどなく、周囲の自然に目をやる余裕のあるコースなので、ところどころ立ち止まりガイドの解説を聞きながら歩きました。森を抜け一枚岩の渓谷をしばらく歩き、往路ゴールの桃洞滝に到着。滝をバックにグループごとに写真を撮って、おにぎりのお弁当を食べました。

(川遊び)

お弁当を食べ終わるや否や、お待ちかねの川遊び。今年は水量が少なめでしたが、天然のウォータースライダーを滑り降りたり、ポットホール(川底の石が流れで回転し続けて穴をあけた川底の窪み)にお風呂のように浸かってみたり、自然の造形での水遊び場を満喫しました。来た道を鳥獣センターまで戻り、往復8km越えのトレッキング&川遊びはさすがに疲れたようで、夕食までの間を自由休憩の時間としました。

(夕食 ~ シャワー ~ 夜の森探検 ~ 就寝)

デリバリーの夕食を取りシャワーを浴びてから、夜の森を覗きに、暗視スコープを持ってテントサイト近くの森へ出かけました。スコープで夜行性の生き物を見つけることはできませんでしたが、昼とは違った森の気配に、いつもは賑やかな子供たちも静かに森を楽しみました。

2019年 8月6日

(起床 ~ 朝食)

キャンプも終盤。いつものように起床~身支度~朝食を済ませました。

午前
(ドングリの植樹)

もともとはブナなどの原生林が広がっていた森吉山麓高原ですが、その一部が放牧のために伐採され牧草地となりました。現在は放牧も終了し、その役目を終えた牧草地を元の森へ還すため、クーンでは現地で種を拾って苗を作っています。3~5年ほど育てた苗を順番にポットから植え替えていて、今日はその苗を1人2本ずつ牧草地に植樹しました。各自スコップで穴を掘り、底に腐葉土を敷いて苗を植え、土を戻して支柱を立てたら完了。草原もそれはそれで気持ちがいいのですが、もともとの森の姿になる日を夢見てみんなで植えました。

(ご当地焼きそばバイキング)

B級グルメブームに乗っかり、昼食はご当地焼きそばバイキング。グランプリ殿堂入りの "静岡 富士宮焼きそば" に極太面が特徴の "福島 浪江焼きそば"、秋田からは "横手焼きそば" と "男鹿しょっつる焼きそば" の4種類をグループごとに作ってみんなで食べ比べ。投票の結果、"横手焼きそば" が一番人気でした。

午後(外来種駆除)

キクの仲間で黄色の大輪の花を咲かせるオオハンゴンソウ。きれいな花ですが、在来の生態系に与える影響が大きく、国の特定外来生物に指定されていて、森吉山麓にも群落ができています。駆除が必要ですが、繁殖力が強く繁殖方法も多様なため、抜いたとしてもその後処理をきちんとしなければならず、駆除するにも資格が必要です。クーンはその資格を持っているので、子どもたちと一緒にこの厄介者の駆除を行いました。"根こそぎ草を抜く"という作業はアドレナリンが出るようで、みんな大興奮で抜きまくり、予定エリアを超えて駆除することができました。


(休憩~夕食)

今日も一日、屋外で遊んだのでゆっくり休憩の後デリバリーの夕食を食べました。

(スモアパーティー ~ 就寝)

今夜はキャンプの定番、スモアパーティー。今年はゆっくり時間がとれたので、じっくりマシュマロを焼いてチョコとクッキーにはさみ、本格的にのんびり楽しみました。

2019年 8月7日

(起床 ~ 朝食)

キャンプ最後の朝、起床~身支度の後朝食を取りました。

午前~午後
(テント撤収)

テントを撤収しました。グループの子どもたち同士のコミュニケーションもさすがに最終日となると順調で、誰からという訳でもなく、それぞれが自ら動いて役割分担してテントが片付けられていきました。

(クラフト作り放題 ~ 昼食)

資料が豊富にある野生鳥獣センターへ移動し、ネイチャークラフトを興味と時間のある限り作りました。 ①カラ類の小鳥の鳴き声に似た音が出せる「バードコール作り」 ②好きな野鳥のマスコットを作る「野鳥のぽんぽん人形作り」 ③ちょうちょのようにふわふわ飛ぶ「ちょうちょの飛行機作り」 ④その日の月齢が立体的にわかる「立体お月見カレンダー作り」 ⑤具材が入れ替えられるので自然物で覗ける「万華鏡作り」 ⑥世界遺産屋久島から直送「屋久杉のマイ箸作り」 の6種類のクラフトを用意。それぞれ自由に2~5種類好きなクラフトを体験し、夏休みの宿題にも使えるなどと話しながらその後昼食を取りました。

(片付け ~ 出発)

いよいよ最後の片付け。撤収は済んでいるので各自の荷物整理をして、大館コース、秋田コースに分かれて帰路につきました。

15年目の今年は、例年よりも1泊多い最長4泊5日のサマーキャンプでした。天候に恵まれ、日中は猛暑となる日も多かったのですが、夜は気温も下がり寝苦しいこともなく、5日間を通じてほぼ予定通りプログラムを行うことができました。
子どもたちの夏の自然体験の場として送り出していただいた保護者の皆さまに感謝するとともに、運営にご協力いただいた各位に心よりお礼申し上げます。

<協力>
  • 秋田市教育委員会
  • 北秋田市教育委員会
  • 大館市教育委員会
  • 五城目町教育委員会
  • 上小阿仁村教育員会
  • 森吉山荘
  • 国際教養大学
参加者の方へ
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